1:小笠原のアオウミガメ
小笠原諸島は日本最大のアオウミガメの繁殖地です。
2月から5月は交尾のため、小笠原近海でみることができます。5月から8月は産卵のため、小笠原の綺麗な浜辺に上陸します。7月から10月は子ガメの孵化の時期で、産まれた子ガメは海に向かって旅立ちます。
研究では小笠原のアオウミガメは他の繁殖域では見ることのできない遺伝子型を含む系群であることがわかり、小笠原は遺伝学的に希少なアオウミガメの産卵地でもあります。
2:アオウミガメの名前の由来
なぜアオウミガメと呼ぶかというと、アオウミガメ体内の脂肪分が「青い(緑色)」であることからこの名前で呼ばれています。アオウミガメは海藻食であるため、その色素が脂肪に反映されているのかもしません。
ちなみにアカウミガメは外見が赤っぽいのでアカウミガメと呼ばれています。
3:小笠原の亀料理
小笠原では、日本人の移民の始まった1800年代より亀の捕獲が行われるようになりました。いまは父島母島近海で年間100頭のアオウミガメが捕獲されています。
そのため一時期は個体が減少しましたが、その後の保全活動により30年前の10倍まで個体が増えました。
小笠原にはアオウミガメの郷土料理があり、お刺身や煮物に調理された亀を食べることができます。
4:アオウミガメの保全活動
小笠原では1982年に設立された「小笠原海洋センター」がアオウミガメの保全活動にあたっています。現在、小笠原海洋センターは「NPO法人エバーラスティング・ネイチャー」により運営されています。
父島の製氷海岸にある小笠原海洋センターではアオウミガメの調査や研究、展示館での展示など様々な保全活動を行っています。また地元では「亀センター」の愛称で親しまれ、情報発信や教育活動、交流活動を行っています。
5:亀の産卵を観察するために
小笠原の5月から8月にかけてアオウミガメの産卵を観察することができます。ですがアオウミガメにとっても産卵は人生の一大事です。人間が観察マナーを守らないことによって、驚いて産卵できないことがあります。次のことに気をつけて、産卵を見学しましょう。
・ビーチではライトで照らさないこと。
・大きな音や声を立てないこと。
・フラッシュやストロボを使って撮影しないこと。
カメの産卵は長い時間がかかります。最後まで観察したい場合は昼寝をしておきましょう。